地球人が火星に住めない7つの理由 〜 火星移住はまだまだ遠い現実
2020年代に入ると、世界中の宇宙機関や民間企業が火星探査に本格的に乗り出します!
ワクワクする~!(≧▽≦)
火星に移住ってそんなに大変なの?と、あんまり興味のない人でも、少しは感心を持ってもらえるよう専門的なことは省いて10分程度で読めるように、解り易く解説してみますね。
- その1.とにかく遠い(2年2カ月は帰れない)
- その2.空気がない(話にならない)
- その3.重力が地球の三分の一(体重が軽くなっていいんじゃない?)
- その4.磁気圏がない(それって何?)
- その5.寒すぎる!(なんてレベルじゃない)
- その6.宇宙線被爆が凄まじい(時間との勝負)
- その7.未知の微生物と生態系の破壊(人類はまた同じ過ちを繰り返すのか?)
- 地球人が火星に住めない7つの理由:まとめ
その1.とにかく遠い(2年2カ月は帰れない)
火星は地球の外側をゆっくり公転(太陽の周りを周っている)しています。
地球は太陽を中心にほぼ真円で周っているんですが、火星は楕円軌道で周っていて、公転軌道の円の中心も太陽からちょっとずれています。
なので、地球と火星が最も近づくのが2年2カ月ごとですが、その時々によって地球と火星の距離は違っています。
動画で見ると解り易いです。
「ちょっと、旅行代理店さん!この前は5カ月で着いたのに、どうして今回は8カ月もかかるのよ!?」ってなことが起こります。
また、最も近い最接近の時でさえ、今の最新のロケットでも地球を出発して火星に到着するのに半年以上はかかってしまう距離なので、往復と滞在期間の食料と水を持っていくことは現実的に難しいです。
それだけの物資を運ぶのにどれだけ大きなロケットが必要か。
物資だけを運ぶのにも莫大な費用がかかります。
途中にコンビニもないので、ロケットでの移動の往復1年以上や、火星で次の最接近まで待つ2年2カ月間、宇宙飛行士たちだけで食料と水を自給自足出来ることが大前提になります。
その2.空気がない(話にならない)
火星は地球の1%程度しか大気がありません。
しかもその殆どが二酸化炭素なので、地球人は宇宙服なしでは火星で生活が出来ません。
「それじゃ、火星で酸素を作ればいいじゃん」ってことになりますが、酸素を作る主な材料として、水が必要になります。
現在の調査では火星の地下には大きな氷の塊やドライアイス鉱があると考えられているので、見つかれば基地内に酸素を供給するぐらいは出来るかも知れませんね。
また、大量の植物を繁殖させれば、光合成で酸素を作り出すことも出来ます。
(現在の科学であっても、光合成の原理を利用して、植物の力を借りずに酸素を作り出すことはまだ出来ません。生命って偉大だ!)
火星全体に酸素を行き渡らせたい所ですが、火星に大気を留まらせるためには人類の手に負えるか解らないぐらいの大きな壁が次に挙げる二つあります。
その3.重力が地球の三分の一(体重が軽くなっていいんじゃない?)
大気は目に見えないので解りづらいですが、当然のことながら重力の影響を受けています。
地球の重力下では、酸素、窒素、二酸化炭素、最も軽い水素でさえ重力に引かれて、地表近くに留まる事が出来ます。
上の地球の写真の淡いブルーは全て大気です。綺麗ですね~。
しかし、火星の重力は地球の三分の一しかないため、軽い気体は宇宙空間に流れ出てしまいます。
なので、地球の大気の1%(厳密には0.6%)しかなく、その殆どが重い二酸化炭素だというのも頷けますね。
世界中で火星のテラフォーミングの話題が熱く盛り上がってますが、この問題はどうするんでしょうか。。。(´-ω-`) 今は考えるのよそう。
その4.磁気圏がない(それって何?)
地球は北極と南極から強い磁力が出ていて、地球全体を磁気圏というバリアで宇宙からの様々な攻撃を防いでくれています!凄いでしょ!?
特に強烈なのが太陽から常に降り注いでいる”太陽風”です。
この強烈なプラズマの風を磁気圏バリアが軽減してくれているお陰で、地球上には生命が繁栄する事が出来ています。
磁気圏がなくなってしまうと大量の強烈な放射線に晒されて、殆どの生命体は生きていけなくなるんです。
そして、そんな大切なバリアが火星にはない。。。(´;ω;`)ウゥゥ
四十億年前にはあったそうな。
磁気は地球の中心核(鉄の塊)の周りをマントルが流動することによって生まれるのですが、火星の場合、誕生してまだ惑星事態が熱っつ熱だったころは、マントルが活発に動いていて、火山の噴火(その証拠が太陽系一大きなオリンポス火山がある)や磁場があったんだそうですが、冷えちゃったんでしょうか?
もうマントルの対流はなくなっているそうです。温泉には入れないですね。
そして磁気圏バリアを失った火星では、太陽熱で蒸発した水蒸気さえも太陽風が吹き飛ばしてしまうので、これでは人間が一所懸命に酸素を作っても、全部飛ばされてしまいますね。。。
では人工的に火星を覆うほどの強力な磁場を作る事は出来ないんでしょうか?
NASAは作っちゃうそうなんですね~(≧▽≦)凄い!
しかも日本のリニアモーターカーで使用している超電導磁石の磁力があれば、現在の技術で充分実現可能なんだとか!
この問題は解決できそうですね。
その5.寒すぎる!(なんてレベルじゃない)
地球上で最低気温の記録は、南極で観測されたマイナス93.2度だそうです。
二酸化炭素が氷ってドライアイスになる温度がマイナス78.5度ってんだから、吐いた息がドライアイスになってしまう凄まじい寒さですよね。
でも太陽からの距離が地球の2倍以上離れている火星では、平均気温がマイナス43度。
地表の平均温度はマイナス63度。そして最低気温はマイナス140度!!
もう訳が分からない寒さですね。
ちなみに酸素が液体になる温度がマイナス183度なので、なんとか呼吸は出来そうです。
(肺の中は氷りますが。。。)
最高気温でもプラス20度までしか上がらないそうなので寒さ対策はきちんとしましょう。
しかし、この寒さの原因は太陽から遠いというだけではなく、大気がないことが主な原因なので、スペースX社のイーロン・マスク氏は、核爆弾を落としまくってドライアイスを溶かして火星温暖化にするとか、無茶なことを言ってました。(温かくなっても核汚染で住めないじゃん)
でも、磁気圏が作れて、太陽風を防ぎさえすれば、二酸化炭素も溜まって暖かくなるかもしれないので、この問題も光が見えているようです。
その6.宇宙線被爆が凄まじい(時間との勝負)
地球上では磁気圏バリアと厚い大気の層のお陰で、太陽や深宇宙から止めどなく降り注ぐ宇宙線と呼ばれる放射線から私たちを守ってくれています。
日常生活を送る中で自然に放射線を浴びている量は、1年間で約2.4ミリシーベルトと言われています。
先でも書いたように火星には磁気圏バリアも大気もないため、宇宙線をまともに受けてしまいます。その量は1日当たり1.8ミリシーベルト程度とか。
たった1日で地球上の1年間に浴びる量に近い放射線を浴びることになります。
多くの宇宙機関は、宇宙飛行士が健康リスク上昇の許容範囲を超えることなく生涯に浴びられる放射線量の限界を1000ミリシーベルト(=1シーベルト)と定めているそうです。
たった500日程度で一生分の限界の量を浴びてしまうとなると、地球から火星の往復で1年かかるので、火星に2年2カ月も滞在なんてしてられないですね。
人類の火星の長期滞在は、磁気圏作って分厚い大気の層が出来てからですかね。
はっ!誰が磁気圏作る装置を設置するの??
その7.未知の微生物と生態系の破壊(人類はまた同じ過ちを繰り返すのか?)
大航海時代に海を渡ったことのない微生物や動物が、新天地の生態系の破壊や病気の蔓延を招いたように、火星に人類が降り立つことで同じことが繰り返されます。
どれだけ宇宙船や持ち込んだもの、宇宙飛行士の身体を除染しても、人間の体の中には兆を超える菌や微生物が暮らしています。
もし火星に水がある事が確認されれば、その水の中にどのような生命がいるかもわかりません。それが人体に害を及ぼす可能性もあれば、それらを人間が絶滅させてしまうかも知れないことを世界中の科学者は危惧しています。
もし人体に危機的なウイルスや微生物が火星にいたとして、それによって病気になった宇宙飛行士は地球に帰らせてもらえるのかも疑問です。
それをタブーとするのなら火星に移住などという話は出来なくなるので、結果的にまた同じことを繰り返してしまうでしょうね。
地球人が火星に住めない7つの理由:まとめ
アメリカのNASA、ロシアのロスコスモス、欧州のESA、中国のCNSA、インドのISRO、アラブ首長国連邦のUAESA、日本のJAXA、民間企業ではアマゾンのジェフ・ペゾス、スペースXのイーロン・マスクなど、2020年代に入ると続々と火星探査計画を始めていきます。
課題は山積みで、途方もない道のりのようですが、世界中の頭脳がインターネットで結ばれ、加速度的に人類の知性と技術の進歩が発展していっています。
これからの若い人たちは劇的な人類の進歩を目の当たりにしていくことになるのでしょうね。*1わくわく♪
7つの理由を頭の片隅に置いて、火星に一人取り残された宇宙飛行士が、地球に生還するまでを描いた映画「オデッセイ」を観るとより一層面白いですよ!
それでは!
*1:o(*´∀`*)o